マルセイユ戦考察(●)
マルセイユ戦の2-1の勝利後、アーセン・ヴェンゲルはゴール前でのテオ・ウォルコットの調子を「周期的なもの」と説明した。
「何もかもが自分を中心に回っている時、試合が終わる度に少し物足りないと感じる時、そんなサイクルがある。」
同じことがフットボールのほとんどに言える。クラブやA代表の成功、フォーメーションや戦術にも当てはまる。
2000年台という大きな区切りでみると、4231は基本形として442に取って代わる人気のあるフォーメーションだった。そして最近はバリエーションが増える傾向にあり、それらは次代の潮流になる兆しがあるけれども依然として4231は最も人気のある形である。理由はいたってシンプルだ。4231によって指揮官たちはピッチ上に最も過不足なく選手を配置できるからだ。しかしながら絶対正しいということはなく、選手が自分の役割理解の如何によっては穴が生じる。
水曜日の夜にあったチャンピオンズリーグ第1節で、マルセイユとアーセナルは共に4231を用いて試合に臨んだ。試合のほとんどの時間帯でお互いに手詰まり状態だったが、システムの解釈の違いによって興味深い対戦となった。
マルセイユのフォーメーションはより標準的で2人のホールディングミッドフィルダーが10番と伝統的なウインガーの後ろでプレイしていた。(アェイウは内に切り込みがちではあったが)一方でアーセナルの4231はより流動的だった。ウィルシャーが左サイドの狭い所でプレーし、ウォルコットはほとんどストライカーのようにピッチの高い位置を保っていた。しかしながら注目を集めたのは2人の司令塔ヴァルブエナとエジルであり、試合開始直後から大きく関与していた。前者は長いパスを通そうとし、エジルはウォルコットへスルーパスを供給した。ヴァルブエナが効き始めると同時にエジルは試合から消え始めた。というのもマルセイユの4231はアーセナルのパスを遮断するのにうまく備えられていたからだ。2人のホールディングミッドフィルダー、インブナとロマオが頻繁にアーセナルの攻撃の芽を摘んだ。
ヴァルブエナは試合内の影響力を保ち続けた。彼は必ずしも直接的に好機を作らなかったかもしれないが、その1つ前のプレイでもってインパクトを残した。なぜならマルセイユの布陣では、彼が唯一のリンクマンだからだ。ワイドに開いた選手たちがピッチを広く使い、ヴァルブエナはそれによってできた横のスペースに切り込みサイドの選手と連携を図る。ある意味では彼のキャリアの大半でワイドのせんqとして当然のように行ってきたことを実行したに過ぎない。けれどヴァルブエナはこの試合で上述のスペースが空くことをよく分かっていた。というのもほとんどの4231のチームは2人のホールディングミッドフィルダーが最終ラインの前にあるスペースを埋めるからだ。4231の急増によって、伝統的な10番は絶滅の危機に瀕しつつあったが、横の動きを取り入れたりより深い位置でプレイしマーカーを避けたりしながら進化してきた。
「エンガンチェ(アルゼンチンで司令塔を指す)という単語は好きじゃない」
アトレティコマドリーのディエゴ・シメオネは言う。
「でも多様性をもったエンガンチェは好きだね。ジダンのようなスタイルをプロトタイプのエンガンチェとでも言うのかな?現代のエンガンチェの役割をもつのはカカやトッティ、ピルロ、ロナウジーニョ、ロビーニョのようなスタイルかな?私は今日のエンガンチェは従来の役割にもう1つの要素を備えていなければならないと思う。豊富なオプションをね」
続く
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